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「胆道閉鎖症と診断された息子。手術後の経過について その2」からの続き。
先日、ミルクを50ccに増やしたことで再び腹水が出てきてしまった息子。腹水を治めるために40ccに逆戻りとなりました。
ミルクを50ccに増やした付近での採血の結果では、
総ビリルビンが4.2、直接ビリルビンが2.6と直近の結果よりも若干悪化。(とは言え、葛西手術前はどちらも二桁の数値なのでそれと比べればマシですが…)
その結果を踏まえて、病院の先生から合併症が発生していないか一度検査してみましょうとの話がありました。
内視鏡検査
その検査とは内視鏡検査とのことで、いわゆる胃カメラですね。食道や胃の中が出血していないか調べるのだそうです。
胆道閉鎖症の合併症として門脈圧亢進症と言うものがあるのですが、これは門脈と呼ばれる副部の消化器官から肝臓に栄養や代謝物を運ぶ静脈の圧が高まった状態のことをいいます。
門脈の圧が高くなると血液が逆流してしまい胃や食道に静脈瘤と呼ばれるコブができてしまいます。
そして肝臓の病気が進行すると、この静脈瘤が破れて出血してしまうとのことです。
胆道閉鎖症の子はほとんどがこの内視鏡検査をするようなのですが、うちの息子のようにこんなに早い段階でするのは稀なのだそうです。
やはり、腹水が他の胆道閉鎖症の子よりも多く、他には見ない例なので先に確認をしておきたいとのことから急遽内視鏡検査をすることとなりました。
しかし、内視鏡検査ということは胃の中にカメラを入れるということ。
大人や大きくなった子どもであれば胃の中にカメラを入れるのも我慢できますが、うちの息子は4ヶ月になったばかりです。どうやってカメラを入れるのか。
そう、全身麻酔です。
そりゃあ、赤ちゃんなんか口の中に異物が入ったら暴れますよね。当然の処置だと思います。
全身麻酔をする関係でこの検査は手術室で行うのだそうです。しかし、検査自体は1時間ほどで終わりますし、麻酔で眠るまでと術後麻酔が切れるまでそれぞれ30分程ということで、全体でも約2時間もあれば終わる検査。
私たち夫婦も肝が座ってきたもので、葛西手術を行ったときの9時間と比べれば短く、ただの検査と割り切ってほとんど動じることなく了承しました。
おや…?採血の結果が…
内視鏡検査の実施については手術室の空きを見て行うことになるため、それまでは今まで通り薬を飲ませ採血をしながら様子を見ます。
ミルクも40ccに戻されているため、腹水は徐々に収まっていきウェストは細くなり体重も腹水の分どんどん減っていきます。
腹囲なんか50cm近くあったのが40cmにまで細くなりました。一週間でウェスト-10cm!!女性からしたら羨ましい限りですかね…(笑)
体重も5,000g程あったのが4,700g前後にまで減りました。普通であれば赤ちゃんの体重が増えることで喜ぶのですが、私たちは減って喜ぶという状況。
なんだかよくわからない感じですね。そもそも生後4ヶ月で5,000gにも満たない状況は良くないのですが、背に腹はかえられませんからね。
そして、採血の結果にも変化が出てきました。
前回の結果では採血の数値が悪化していたのですが、その後の採血では総ビリルビンが2.8、直接ビリルビンが1.3と減少!
そして、内視鏡検査の前日の採血では総ビリルビンが2.6、直接ビリルビンが1.1と更に減少!!
これでも、正常値よりは高い数値ですし、たまたまということもあります。しかし、2回連続で観測史上最低値が出たのは素直に嬉しいです!
よくやった息子よ!!!
気持ちの変化
いよいよ内視鏡検査当日となり、朝から病室へ向かいました。手術室の利用は幼い子から順に行うとのことで、おそらく息子が一番幼いだろうから9時からのスタートだろうなと思っていました。
しかし、病室へ入り妻と顔を合わせた途端、
「あ!言うの忘れてた!」
一体何を忘れたというのだ…。
「うちの子よりも幼い子がいたみたいで、その子が今から手術だからうちの子は昼頃みたい。」
一緒の病室のお母さん達からも「そういう事はもっと早く言ってあげて!(笑)」と思わずツッコミが入っていました…。
まぁ、ある意味いつも通りで全く緊張していないということなのでしょう。
病気がわかった当初は息子がどうなってしまうのか不安で仕方ありませんでした。しかし、今は病院や先生にも恵まれ息子のために最善を尽くしてくれています。そして同じ病棟の子どもやお母さん達とも仲良くなってリラックスできるようになってきました。
大学病院ということもあり、入院している方はみんな大変な病気を抱えている方ばかり。しかし、それでも一生懸命生きていて笑顔も見せている姿を見て私達も励まされています。
私も休みの日は、妻に代わり泊まって息子の面倒を見るのですが、ミルクを取りに行っている間に一緒の病室のお母さんが息子の面倒を見ててくれたりします。
そんな人との交流のおかげで私たち夫婦もだいぶ気持ちが楽になりました。この日の朝のやり取りは、その恩恵の最たるものなのでしょうね(笑)
思わぬ試練が…
ということで、検査は昼からの予定に。胃カメラで全身麻酔なので当然息子は食事制限をかけられています。
ミルクは午前4時以降禁止。当然いつも午前6時に飲んでいたミルクは飲めません。しかし、薬だけは飲まなければいけないという試練が…。これが大変だったと妻がぼやいていました。
朝昼晩と1日3回薬を飲んでいるのですが、いつも順番が決まっていて、この薬の後はこの薬、そしてこの薬の後はミルク!と息子が覚えてしまっているのが仇となりました…(笑)
この日ばかりはいつも飲んでいる薬の後にミルクがないのです!いつもこの少ないミルクのために苦くて美味しくない薬を我慢しているのに、その少ないミルクすらも無いと知った息子は…
ギャン泣きです!
当然ですよね。お腹が減って泣いている時も薬が見えた時点で最後にミルクが来るとわかっているのか泣き止む息子なんです。
それがない時の怒りといったら、それはもうかなりのものでしょう。食い物の恨みは恐ろしいのです…(笑)
そんな息子にさらなる試練が襲います…。
予定では昼頃に行うはずだった息子の内視鏡検査。しかし、前の子の手術が思いのほか長引いており12時を過ぎても音沙汰がありません。
12時位までは朝のギャン泣きで疲れたのか眠っていたのですが、いよいよ昼の1時を過ぎても息子は呼ばれず、その間は絶食中なので泣きっぱなしです。ただでさえ少ないミルクなのに絶食までされたらそりゃ辛いよね…(泣)
結局手術室に呼ばれたのは昼の1時半頃でした。
検査の実施と結果について
いよいよ手術室で検査が始まった息子。私たち夫婦は手術室に入る息子を見届けた後…。
遅い昼食を食べました。
…すまん息子よ。お父さんたちもお腹が減っているのだ。お前を世話するために体力をつけねばならんのだよ。腹が減っては戦はできぬと言うだろう…!
その後、妻の育休の申請の為の書類を書いて郵便局へ持っていき、金融機関の確認印をもらって帰ってきたら看護師さんが「間もなく終わるそうなので手術室へ行きましょう」と…。
早っ!
どうやら検査は順調に終わったようです。予想外の事態もなかったということでしょう。まずは一安心ですね。
移動中に看護師さんから「多分、麻酔が少し残っていると思うので少しボーッとしているかもしれませんね。」との話がありました。
確かに、小さい子が全身麻酔をするわけですからそれは当然でしょう。葛西手術の時もボーッとしていましたしね。
むしろ、検査後3時間はミルクが飲めないのでそのくらいの方が大人しくしててくれるのでありがたいです。
そう思って手術室の入り口へ入った途端息子の泣き声が…。息子よ…麻酔はどうした…。食欲は麻酔すらも打ち破るようです…(笑)
その後、病室へ戻り3時間なんとかあやしたり寝かしつけたりして乗り切った後、ようやくミルクを飲ませることができました。
この時も薬から飲ませたのですが、薬すらも喜んで飲むほどお腹が減っていたようです。辛い思いさせてごめんね。存分に飲みなさい!
そして、嬉しい話も!実はこのときからミルクの量が45ccに!たった5cc増えただけですがそれでも一歩前進です!そしてどうか腹水が出ませんように!!
その後、先生が病室へ。今回の検査についての説明です。
結果は、胃の中は問題なし。食道に小さい静脈瘤はありましたが、今の段階ではしばらく問題ないとのこと。おそらく静脈瘤はあるだろうとの話はされていましたが、深刻な状態では無いようでなによりです。
今回の結果を受けて、今後はまた採血の内容と腹水を見ながらミルクの量を徐々に増やし体重を増やしていく事になります。
現時点ではミルクの量も少なく、足りない栄養素は点滴で補っている状態です。また、腹水のコントロールのために利尿剤も入れています。
それを、点滴を外しミルクのみで栄養を補えるようになり腹水も自身の身体でコントロール出来るようになれば、まずは退院できるとのこと。
一体何ヶ月先になるのかはわかりませんが、その目標へ向けて進んでいくだけです。
心境の変化
最初はかなりのショックで気も滅入ってばかりでしたが、ここ1ヶ月でだいぶ気持ちが整理されました。
この今回の記事の内容も以前の胆道閉鎖症の記事と比べて柔らかい文章になったと自覚しています。
たしかに、採血の結果も良くなり、再びミルクの量が増えたとはいえ、楽観視出来る状況ではありません。むしろ、他の胆道閉鎖症の子より間違いなく状態は悪いです。
ですが、くよくよしているだけでは始まりません。せっかくできた息子です。病院内でも成長はしており、日々の変化を楽しんでいます。
最近は自分でおもちゃで遊べるようになりました。それを見ているだけで自然と笑みがこぼれてきます。
どんな状況でも私たちは家族です。そして、家族の夢もあります。一番最初の夢は家族3人でお出かけすることです。
小さな夢ですが、こんな事でもとても大事な夢です。その夢を実現するため、これからも息子のため、妻のために頑張っていきたいと思います。
「胆道閉鎖症と診断された息子。手術後の経過について その4」に続きます。
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