さて、前回は「最大で400万円の減税!?「住宅ローン減税制度」を利用するための条件について確認しよう」についての記事を書きました。
この「住宅ローン減税制度」は年末時点での住宅ローン残高の最大1%が所得税(と住民税)から控除されるという制度です。
しかし、「所得が低くて住宅ローンの残高の1%も税金払ってないよ!(泣)」という方もいらっしゃると思います。(私もそうです…(汗))
その場合、住宅ローン減税制度の恩恵を受けにくくなってしまいます。でも安心してください!そんな人のために特例として現金を給付してもらえる制度があります!
それが「すまい給付金」と言う制度です。今回はこの「すまい給付金」の内容について説明していこうと思います。
「すまい給付金」とは?
「すまい給付金」とはどのようなものなのでしょうか。国土交通省のすまい給付金サイトによりますと以下のとおりです。
すまい給付金は、消費税率引上げによる住宅取得者の負担をかなりの程度緩和するために創設した制度です。住宅ローン減税は、支払っている所得税等から控除する仕組みであるため、収入が低いほどその効果が小さくなります。すまい給付金制度は、住宅ローン減税の拡充による負担軽減効果が十分に及ばない収入層に対して、住宅ローン減税とあわせて消費税率引上げによる負担の軽減をはかるものです。このため、収入によって給付額が変わる仕組みとなっています。
「住宅ローン減税制度」は住宅ローン残高の1%が所得税や住民税から控除されるものですが、冒頭でも述べたようにそもそも収入が少ない方は支払う税金の金額も少ないのでこのメリットを最大限享受できない問題点があります。
そこでこの問題点を解消するために設けられたのがこの「すまい給付金」というわけです。この制度を利用すると最大で30万円(消費税が10%になった場合は最大50万円)が給付されます。
では次に「すまい給付金」の利用要件について確認していきましょう。
「すまい給付金」の利用要件について
「すまい給付金」は、
- 住宅を取得し登記上の持分を保有するとともにその住宅に自分で居住する
- 収入が一定以下
の方が対象です。また「住宅ローン減税制度」とは違い、住宅ローンを利用しないで現金で住宅を取得した方にも適用になります。しかしその場合は、年齢が50才以上の方が対象となるので注意してください。
すまい給付金は、良質な住宅ストックの形成を促す目的もあるため、住宅の質に関する一定の要件を満たした住宅が対象となります。
なお、中古住宅については、宅地建物取引業者による買取再販など、消費税の課税対象となる住宅取得が対象となります。個人間売買の場合は消費税が非課税であるため、消費税引き上げによる住宅所得者の負担軽減の趣旨から外れることから「すまい給付金」の対象外となりますのでご注意ください。
つまり、売り主が業者の場合は対象となり、個人の場合は対象外ということです。
給付額について
給付金は、消費税8%時は10万円から30万円まで10万円単位(消費税10%時は10万円から50万円まで10万円単位)で給付されます。
給付額については住宅取得者の収入と不動産登記上の持分割合により決まります。
また、収入については給与所得者のいわゆる「額面収入」ではなく、都道府県民税の所得割額に基づき決定しますが、おおむね年収が510万円以下(消費税10%時は775万円以下)が支給対象となると考えてもらっていいと思います。
消費税8%の場合 | ||
年収の目安 | 都道府県別の所得割額 | 給付基礎額 |
425万円以下 | 6.89万円以下 | 30万円 |
425万円超え〜475万円以下 | 6.89万円超え〜8.39万円以下 | 20万円 |
475万円超え〜510万円以下 | 8.39万円超え〜9.38万円以下 | 10万円 |
消費税10%の場合 | ||
年収の目安 | 都道府県別の所得割額 | 給付基礎額 |
425万円以下 | 7.60万円以下 | 50万円 |
425万円超~525万円以下 | 7.60万円超〜9.79万円以下 | 40万円 |
525万円超~600万円以下 | 9.79万円超〜11.90万円以下 | 30万円 |
600万円超~675万円以下 | 11.90万円超〜14.06万円以下 | 20万円 |
675万円超~775万円以下 | 14.06万円超〜17.26万円以下 | 10万円 |
夫婦で住宅ローンを組んでいる(片方が連帯保証人ではなく、どちらも債務者)場合はそれぞれの給付基礎額に持分割合を乗じた額が給付額となります。※夫婦それぞれ申請を行う必要があります。
【参考例】 | 給付基礎額 | 持ち分割合 | 給付金 |
夫 | 20万円 | 60% | 12万円 |
妻 | 30万円 | 40% | 12万円 |
この参考例の場合はそれぞれが申請することで、夫12万円+妻12万円の合計で24万円の給付金を受け取ることができるということですね!
もし、持ち分が夫のみの場合であれば給付基礎額である20万円の支給のみなので、4万円多く給付金を受け取ることができています。
なお、給付申請をするときは必ず引越し前の住宅の所在する市区町村発行の個人住民税の課税証明書(以下、「課税証明書」)を入手し「都道府県民税の所得割額」を確認してください。詳細についてはすまい給付金サイト(給付額のシュミレーションも可能)に記載してありますのでご確認ください。
住宅の対象要件について
「住まいの給付金」の利用要件の欄で述べたように住宅の質に関する一定の要件を満たした住宅が対象となるため注意が必要です。その要件について確認していきましょう。
1.床面積が50㎡以上である住宅
まずは床面積です。こちらは「最大で400万円の減税!?「住宅ローン減税制度」を利用するための条件について確認しよう」の際に説明したときと同じく50㎡以上が対象です。なお、床面積の図り方も同じになっておりますのでご確認ください。
2.施工中の検査(新築物件)
新築物件の場合は施工中等に第三者の現場検査をうけ一定の品質が確認される以下の1~3のいずれかに該当する住宅が対象となります。
- 住宅瑕疵担保責任保険(建設業許可を有さないものが加入する住宅瑕疵担保責任任意保険を含む)へ加入した住宅
- 建設住宅性能表示を利用する住宅
- 住宅瑕疵担保責任保険法人により保険と同等の検査が実施された住宅
これらの検査は原則として施工中に検査を行うものであるため、着工前に申し込みが必要となります。
3.売買時等の検査(中古物件)
中古物件の場合は、売買時等に第三者の現場検査をうけ現行の耐震基準及び一定の品質が確認された以下の1~3のいずれかに該当する住宅が対象となります。
- 既存住宅売買瑕疵保険へ加入した住宅
- 既存住宅性能表示制度を利用した住宅(耐震等級1以上のものに限る)
- 建設後10年以内であって、住宅瑕疵担保責任保険(人の居住の用に供したことのない住宅を目的とする住宅瑕疵担保責任任意保険を含む)に加入している住宅又は建設住宅性能表示を利用している住宅
また、中古物件では前述の通り宅地建物取引業者が売り主である必要があるのでこちらも合わせてご注意ください。
4.住宅取得者年齢(現金取得の場合)
現金取得の場合は年齢が50才以上の者が取得する住宅が対象となります。
なお、この場合の年齢とは当該住宅の引渡しを受けた年の12月31日時点での年齢をいいますのでご注意ください(例えば、誕生日が10月の者が、4月(当時49才)に住宅の引渡しを受ける場合は、年齢が50才として扱います)。
5.(独)住宅金融支援機構のフラット35Sと同等の基準を満たす住宅(新築・現金取得)
新築且つ現金取得の場合は(独)住宅金融支援機構のフラット35Sと同等の基準を満たす住宅である必要があります。なお、フラット35Sの基準は以下の1~4のいずれかに該当する住宅である必要があります。
- 耐震性に優れた住宅(耐震等級2以上の住宅または免震建築物)
- 省エネルギー性に優れた住宅(一次エネルギー消費量等級4以上または断熱等性能等級4または省エネルギー対策等級4)※なお、省エネルギー対策等級4による証明書等の申請は、平成27年3月31日で終了しています。
- バリアフリー性に優れた住宅(等級3)
- 耐久性・可変性に優れた住宅(劣化対策等級3、維持管理対策等級2等)
申請について
申請は、取得した住宅に入居した後に可能となります。申請期限は、住宅の引渡しを受けてから1年以内ですが当面の間、1年3ヶ月に延長しているようです。
申請方法は、すまい給付金事務局に郵送にて申請する郵送申請、又は全国に開設するすまい給付金申請窓口に持参して申請する窓口申請のいずれでも申請可能です。
なお、住宅事業者等が、申請手続きを代行する手続代行も可能です。
全国にサポートセンターが設置されており、給付金額の確認や申請書類の記入方法についてなども教えてくれます。私もサポートセンターに確認を取りながら、実際にそこで申請しました。
サラリーマンにとってはマイホームを持つことは1つの大きな夢だと思いますが、前回紹介した「住宅ローン減税制度」と合わせて利用することによって住宅取得に対する負担額をかなり軽減することができるようになると思います。
申請手続きなどはなかなか大変ですが給付される金額のことを考えれば、手間暇を惜しまずにやらないといけませんね。
ぜひこれらの制度を活用し、夢のマイホームへの一歩を踏み出しましょう!
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