先日はNISAに関する記事を書きましたが、通常NISAは20歳以上の方を対照するものでした。しかし、実は2016年から20歳未満の子どもを対象としたジュニアNISAと呼ばれる制度が新しく始まりました。
私も、年末に子どもが生まれたため、この制度の利用を検討しています。今回はこのジュニアNISAについて確認していこうと思います。
ジュニアNISAとは?
ジュニアNISAとは未成年(0~19歳)を対象に、年間80万円分の非課税投資枠から得られた譲渡益、分配金・配当金の税金がNISAと同じく非課税になる制度です。
ジュニアNISAができた経緯ですが、日本の資産の大半は高齢者の方が持っています。この資産を若い人へ移すためにできた制度です。
2014年に日本にNISAが導入された結果、その利用状況は中高年者が大半を占めていました。実は、20代、30代の利用状況は10%程度という状況になっています。この状況を改善するためにジュニアNISAが導入されたのです。
NISAとジュニアNISAの違いは?
現行のNISAの子ども版がジュニアNISAですが、現行のNISAの概要とは異なるところが多数あります。その違いについて確認していきましょう。
ジュニアNISAとNISAの違い
ジュニアNISA | NISA | |
---|---|---|
年齢 | 0~19歳 | 20歳以上 |
年間の投資上限金額 | 80万円 | 100万円 |
投資期間 | 2023年(平成35年)まで | 2023年(平成35年)まで |
非課税対象 | 運用される株式、投資信託での利益 | 運用される株式、投資信託での利益 |
非課税期間 | 投資した年から最長5年間 | 投資した年から最長5年間 |
運用管理 | 原則として親権者が代行運用し、18歳までの払い出しが不可能 | 払い出しに制約なし |
利用可能な人
利用対象者は、0歳から19歳までの未成年者です。
なお、2016年現在で19歳以下の方で、ジュニアNISAを始めた方が20歳以上になった場合には、大人版NISAに移行ができるようになります。
投資金額について
ジュニアNISAは80万円×5年間で最大400万円までの非課税投資が可能です。
親やおじいちゃんおばあちゃんから生きている間に贈与された場合、ジュニアNISAも含めて年間110万円以上の贈与があると「贈与税」の対象となりますのでご注意ください。
非課税期間・投資期間について
非課税期間が5年間である点は、通常のNISAと同様です。ジュニアNISA口座の投資可能期間は、平成35年で終了します。
ただし、平成35年の制度終了時点で20歳になっていない方については、平成36年以降の各年において非課税期間(5年間)の終了した金融商品を、時価80万円を上限に継続管理勘定に移管(ロールオーバー)することができます。
継続管理勘定では20歳になるまで(1月1日時点で20歳である年の前年12月31日まで) 、金融商品を非課税で保有し続けることができます。なお、継続管理勘定では売却は可能ですが、新規の買付は不可能です。
出典:金融庁|NISAとは?ジュニアNISAのポイントより
運用できる人
子供が対象とはいえ、株式投資や投資信託などについて子供が自分で運用するのは難しく、実際に投資運用や口座管理するのは親権者(両親や祖父母)となります。
しかし、未成年であっても、15歳以上なら子供が運用できます。
ジュニアNISAのメリット
ジュニアNISAの最大のメリットはNISAと同じく、非課税で運用ができるということです。投資をする上で1番ネックになるのが、税コストです。これがゼロになるのですから大きなメリットと言えます。
学資保険並みに長期運用ができますので、戦略的に増やす学資保険との併用もおすすめな使い方と言えるでしょう。積立型学資保険の祝い金の不足部分を補う意味で、ジュニアNISAはとても有効な子供の将来への備えとなります。
また、富裕層な方などは将来の相続税の節税対策として活用することも考えられます。毎年80万円ずつ非課税枠を利用するという方法で、シニア層節税対策として活用できるのではないかというメリットもあります。
そのほか、子どもが15歳以上になれば自ら運用できるようになるので、親がアドバイスをしつつ投資の勉強をすることができます。金融リテラシーを身につけるきっかけとなるため子供の教育の面でも有効に使うことができるのではないでしょうか。
ジュニアNISAのデメリット
ジュニアNISAのデメリットは通常のNISAのデメリットに加えてさらに幾つかの制限があることです。
1つ目は金融機関の変更ができないことです。通常のNISAの場合は金融機関を変更することができますが、ジュニアNISAはできません。
口座を開設するときは、どんな投資商品を取り扱っているのかをよく調べて、使い勝手がいい金融機関を選ぶなど注意が必要です。
ただし、ジュニアNISAの口座開設の場合は基本的に「親権者が口座を持っていること」が、口座開設の条件になっている場合がほとんどです。その点についても注意してください。
2つ目は18歳まで引き出せないことです。正確には子供が18歳未満で払い出しを行う場合、ジュニアNISA口座自体が廃止され、過去に遡って配当金や売却益で非課税だった金額に課税されたうえで払い出されます。通常の株取引と同じ位置づけになるわけですね。
まとめ
以上、通常のNISA以上に複雑で制限もある制度ですが、その分メリットもある制度となっています。
投資可能期間についても現時点では平成35年で終了予定となっていますが、今後の制度改正によって期間が伸びる可能性は十分にあると思います。
私は現時点で正直投資に回すお金がないのが現状ですが、子供の将来のためこの制度は将来的に利用したいと思っています。
ジュニアNISAは子どもの経済感覚や投資センスまで培うことができる可能性もあります。正直日本の金融リテラシーは非常に低い水準だと感じているので子どもには早い時期からお金の知識を付けさせたいと思っています。そのためのツールとしては非常に使えるものだと思うので、ぜひ皆さんも検討してみてください。
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