「胆道閉鎖症の息子のその後。生体肝移植へ向けて。」からの続き。
さて、前回の記事でわたし達の息子に肝臓移植を受けさせる決断をしたことを書きました。
その後は、あっという間に話がすすんでしまって既に移植を受ける病院への転院が完了しています。
わたし達も迷いがなかったとは言え、正直展開が早すぎて付いていくのがやっとと言った感じです。
更に、思いのほか早く移植を行うことにもなりそうです。それだけ息子の肝臓が傷んでいるということ。
今できることは移植に向けて準備をすすめることだけです。
転院と移植へ向けて
という訳で、県外の病院へ転院することとなったわけですが、わたし達の場合は転院先の病院までは自分たちで行かなければいけません。
転院先の病院までの移動手段は新幹線か車になるのですが、その際に問題になるのは荷物です。
3月からずっと入院しており、子供だけでなく妻もずっと付き添いしていたので荷物はかなりの量でした。
荷台を使っても3往復くらいしないと運びきれない量の荷物ですからそれを手に持って新幹線で行くのは現実的ではありません(笑)
しかし、わたし達の持っている車は軽自動車だけですからとてもじゃないですが載せきれません(笑)
ということで、レンタカーを借りて行くこととなりました。
みなさんへの感謝と家族での小旅行(?)
転院日当日。朝イチでレンタカーを借りて病院へ向かい早速荷物を積み込みます。
今回借りたのはカローラフィールダー。後部座席にチャイルドシートを取り付けてはいますが、それなりに荷物は積めるくらいの大きさです。
荷台を使って病室と車を3往復(笑)
何とか載せることができ、後は出発するだけ。
その最後の荷物を運ぶ際に、妻がお世話になった先生や看護師さん、そして病棟の子どもとお母さん達とお別れをしていたのですが、みんな自分の子のように別れを惜しんでくれました。
特に病棟のお母さん達からは、急な転院だったにも関わらず寄せ書きや千羽とはいかないまでもかなりの数の折り鶴の束等のプレゼントが!
それを見た時に、ほんとにウチの息子と妻はみんなから愛されていたんだなぁというのを実感しました。
みなさん、自分の子供も大変な病気なのにここまでしてくれて、感謝してもしきれないくらいです。本当にありがとうございました。
そして、みなさんへ別れを告げ、いよいよ移植へ向けて転院先の病院へ!
通常であれば片道3時間ほどの距離ですが、息子を連れているためこまめに休憩をとっての移動となります。
肝臓の状態が良くないですし、熱もあるので休憩と言っても車の中からは殆ど出ないようにしました。
とは言っても、久しぶりの家族3人でのお出かけ(?)でしたので、ほんとに楽しかったです。
ほんとに少しの時間でしたが、普通の家族っぽいことをできたなと感じました。
新たな病院にて
そんなこんなで、つかの間の家族3人での旅行(?)を楽しんだところで転院先の病院へ到着しました。
到着後はすぐにエコーとCT検査を行うと同時に先生から今後の予定についての説明を受けました。
説明では、翌日に経皮経肝胆道ドレナージというもの行うとの話が。
経皮経肝胆道ドレナージとは、肝臓内にある胆管に直接管を通して胆汁を体外に排出する処置のことです。
なぜ、このような処置をするのかというと、実は息子の肝臓内に胆汁の液溜まりが多数見られるからです。
葛西手術により肝臓と小腸を直接繋げてはいましたが、度重なる胆管炎により肝臓内にある胆管が詰まってしまい肝臓の外に排出されなくなってしまったのです。
肝臓内に溜まった胆汁は肝臓を傷つけてしまいます。胆道閉鎖症が起こっている状態に逆戻りというわけです。
その為、肝臓内に溜まった胆汁を外に出す為に経皮経肝胆道ドレナージを行うことになります。
それにより肝臓内の圧が弱まることで肝臓への血流を促すことにもつながるとのこと。
また、その他にも胆管炎を起こしてしまった肝臓内に溜まった胆汁を調べることで何の菌に感染しているか特定し、その菌に有効な抗生剤を投与することが出来るようになるようです。
生体肝移植後は免疫抑制剤を使用することから身体の抵抗力が弱まります。
しかし、長く抗生剤を使用していると抗生剤などに強い抵抗力を持った耐性菌ができてしまう可能性があります。
もし、免疫力が弱った身体に耐性菌ができていた場合、身体は対処することができず致命的な結果になりかねません。
そのことから、抗生剤の使用を必要最低限にするためにも菌の特定を行う必要があるとのことでした。
ただし気になる点も1つあります。
実は肝臓内の胆管は複数あるようなのですが、1本の管ですべての胆管へ通せるかどうかは実際にやってみないとわからないとのこと。
ただ、全部に通せれば一番いいのは間違いありませんが、一部に通すだけでも肝臓の圧を下げることは出来るし、胆汁さえ取れれば培養して菌の特定も出来るので、全部通ればラッキーって感じで変に気負わないようにしたいと思います。
自分ができることを
こんな感じで、新たな病院での移植へ向けた準備が始まりました。
移植というと最初は絶望しか無いような感じがしていましたが、この病気が発覚して半年近くが経過し、私たち夫婦の考えもだいぶ変わってきました。
今ではむしろ息子への負担を減らすために早く移植をして欲しいとまで思うようになっています。
もちろん、移植は非常に大きな手術となるため息子は当然ですが、ドナーとなる妻にも万が一のことがないとはいえません。
そして、この状況で何の力にもなれない自分に対して失望やいらだちがあるのも事実です。
しかし、そこでくすぶっていては何も始まりません。
それならば、自分ができることを精一杯して、妻と息子を支援できるようになりたいと思います。
移植までそれほど時間がありませんが、やらなければならないことは山ほどあります。
それらをしっかりこなして、2人が安心して手術にむかえるように頑張っていきたいと思いました。
「胆道閉鎖症の息子のその後。生体肝移植へ向けて。その3」に続きます。
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